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ビート:JUNYAという男

ぎんなん

 【横浜発8月10日】彼のスタイルは、だれにも似ていない。ギター一本で弾き語りというと、長渕っぽいとか、BIGINっぽいとか、似ているミュージシャンがいそうなもの。しかし、彼のスタイルはまったくのオリジナルで、「JUNYAの世界」とでも呼ぶしかない。あえてジャンルを探せば、「癒〔いや〕し系」なのかもしれない。

 本名は伊藤純也。南区の出身で、35歳。仕事は造園業。
彼との出会いは、かなり前にさかのぼる。

 友だちと鎌倉街道沿いの、安くて美味しい「やたろう寿司」で食事をすませ、「さあ、帰ろう」と道を歩いていたら、向こうから目つきの悪い、いかにもヤバそうな男が一人やってくるではないか。目を合わさず、通りすぎようとしたその時、そいつに友だちが腕をつかまれたのだ!

 「やばい!逃げちゃおう!」とあたふたしていたら、その男は「北野先輩っすよね…」。すると、友だちの方も「オー、純也か。久しぶりー」と急にフレンドリーになったのである。あの時は本当にびっくりしたが、今からも思うと、逃げなくてよかった。その場で30分ほどの立ち話になったのだが、「近いうちにライブをやる」というので、「必ず見に行く」と約束して別れた。

 それから暫くたつと、ライブの知らせが届いたので、北野君と見に行った。その時は、ギター二人の演奏だったが、とてもよく、一発でファンになってしまった。

 今年7月26日、日吉〔港北区〕の「NAP」というライブハウスで演奏すると聞き、また、北野君と見に行った。今回はソロで、立ったままでの演奏〔トップページの写真〕。マイクは、耳からニョキっと出てるインカム風〔?〕にしてるし、前回とはスタイルがかなりちがうので、ちょっと心配になった。

 しかし、1曲目の「オアシス」を聴いて、ほっとした。ギターの音色といい、JUNYAの声といい、バランスが取れていて、聴いていると、とても気持ちがいい。

 JUNYAの曲は、どれもやさしい。それに、押しつけがましい、メッセージソングではないところに、惚れてしまう。彼の唄は、子どもに聴かせてもいいのではないかと思う。そのうち、わが家に来てもらって、生まれて3か月になるうちの子どものためにギターを弾いてもらいたい。そうすれば、きっとやさしい子どもに育つだろう。

 今回はほかに、4組のアーティストが出演していて、JUNYAは6曲で終わってしまった。しかも、前回聴いた中で一番気に入っていた「瞬間〔とき〕の旅人」をやらずに終わろうとするから、「瞬間の旅人やってよ!」と、思わず声を発してしまった。すると嬉しいことに、彼は快くリクエストに応えてくれたのだ。

今 目覚めた者 すこやかにこの瞬間〔とき〕を生き給〔たま〕へ
今 支え合う者 ゆるやかにこの瞬間を積み給へ
誰もが瞬間の旅人 溢〔あふ〕れ出る愛につつまれて
今 争う者速やかにこの瞬間を捨て給へ
今 眠りゆく者 やすらかにこの瞬間を受け給へ

 この「瞬間の旅人」なのだが、前回観に行った時、JUNYAは「まだ未完成なんだ」と話していた。しかし、その未完の曲はメロディーも歌詞もすばらしく、やさしかった。当時、大事な仕事仲間を事故で亡くし、落ち込んでいた私を、本当に癒してくれた。「瞬間の旅人」が「鎮魂歌」に聞こえたわけだが、今回はちょっと印象が異なり、「生まれてきたばかりの子どものための子守唄」に聞こえた。詩の内容は同じはずだが、心境によってこんなにも違って聞こえるものだろうか。演奏を聴いているうちに、なんだかググっときてしまい、右目からこぼれ落ちようとしていた涙を、北野君にばれないように、そっとぬぐった。

 写真の通り、見た目はかなり強面〔こわもて〕のJUNYAだが、なかなかの男前。とにかく純粋で、やさしい歌を唄う男なのである。ギターもかなりの腕前で、クラシックを弾くところがシブい。癒されたい方はぜひ、聴いてほしい。

 JUNYAに会ってみたくなった人は日吉「NAP」に足を運んでみよう。次回演奏は8月15日。18時30分開場、19時開演。CDも近く出す予定。