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03/09/03 【コネティカット通信一覧】
宇院蔵 香苗米国にて「和の器」に出会う【ハートフォード〔米コネティカット州〕発9月3日】私はアンティーク関係のお仕事をしているのですが、1年前までドイツ・ミュンヘンにいたこともあって、今でもヨーロッパ物を多く扱っています。でも、コネティカットのアンティーク屋さんやアンティークフェアを見ていると、アジア物もけっこう、たくさん出ていて、和の骨董やインテリアが日本にいたときよりも好きになってしまいました。最近はニューヨークにある日本の本屋さんに行って、日本の陶器やインテリアについての本を買ったりしています。
前から、アンティークの磁器を修理する仕事にも興味があって、陶磁器について勉強したいな〜と思いながら、なかなかできずにいたので、本気でやってみようと思い、知り合いに相談したところ、日本人女性で自宅に工房を持っている方がいるというので、紹介してもらいました。 竜子さん=写真=は7年前に陶芸を始め、ニューヨーク・マンハッタンのおすし屋さんからオーダーが入るほどの作家になってしまった、すごい人です。今は独自の釉薬〔ゆうやく、うわぐすり〕を研究中だそうです。自宅の半地下にある工房は、細かくメモ書きがされた色見本や釉薬がきれいに並べられてあり、女性作家っぽく、明るいイメージがあふれていました。なんとなく「日本の工房」というと、わざとらしく、人里離れた芸術家を演出してる感じがあって、苦手なのですが、アメリカという土地柄もあってか、すごく普通に作陶活動をしてるところに魅力を感じてしまいました。 南こうせつのCDを聞きながら、エプロン姿で工房にいる姿は、主婦がお夕飯の支度をしているように自然で、とってもほのぼのチック!(これ以上、細かく書くと彼女の年齢がばれてしまうのでここまで)。どうやって使っていいのかわからないものを「芸術」と呼ぶならば、彼女の作品は取扱説明書の要らない「自然派アート」(これ、私が勝手に作った単語です)。
お庭に落ちた、かえでの葉をそのまま形どったり=写真、グリンピースそっくりの箸〔はし〕置きだったり、もし私がインタビューアーだったら、お約束の「これはなにをイメージされたんですか?」を問うことができず、困ってしまったことでしょう。アメリカ人の先生から作陶を教えてもらった彼女が、独学で和の陶器を作り始めて、どうしてこんなに素直な作品ができるのだろう?と、素人ながら感心してしまいます。 「ちょっとしたゆがみや釉薬のたれ具合が評価される和陶器を作ると、アメリカ人には失敗作だといわれてしまうのよねぇ…」という彼女の話には、思わず大きくうなずいてしまいました。私も、アメリカの「芸術よりも機械で大量生産&安い物」という発想があまり好きではないからでしょう(今、書いてみて気づいたのですが、「安い物」と書くのと、「安物」と書くのとでは、ずいぶん印象がちがいますね…)。規格外の物を捨ててしまう人たちには、あのゆがみの良さはわからないだろうと思いました。 話がずれたので戻しますが、食器というのは、その土地の食文化に密着した物なので、日本の小鉢はアメリカンフードには必要なく、いろいろ盛り合わせができる大きい平皿が好まれています。逆に、大鉢などは、サラダやチップスを入れるのにちょうどよく、人気があるようです。こんなステキなお皿にチップス?…と思う時もありますが、お客さまが来ている時に、いいものを見せびらかしたいのは世界中の女性みな同じ。 私も女性だから、素敵なお皿をほめるマナーぐらいはあるのですが、時々アンティークを買い付ける時のクセで、お皿の裏を見ようとして失敗してしまったりします(そこまですると、ちょっとイヤミっぽいかな)。 コネティカットにも、陶芸の学校はたくさんありますが、竜子さんもメンバーになっている作家のグループが共同で経営している「WORKSHOP.EXPRESSIONS」を少し紹介します。10台のロクロに、大きな電気釜が2つあって、土練機や釉薬などがきれいに整頓されている、学校のお教室のような感じの工房です。日本独特の釉薬や、オリジナルな釉薬なのに、日本の古い陶器のような色合いに仕上がる物まであって、とてもびっくりしました。みなさん、自分で工房を持ってるのに、こうして一つのグループに集まって、情報交換や新しい技術の勉強、展示会などを行っているそうです。やはり、芸術家同士で、気が合わないこともあると思うのですが、なんかすごく和やかでした。何人か生徒も取ってるようで、いろんな作品が棚に並んでいたので、私が一番気に入った物を選んで「これステキですね…」と話しかけてみたら、「それちょっと歪んじゃって、失敗なの」という答えが返ってきてしまい、竜子さんの話がよみがえってきて、笑いそうになりました。 こうなったら、ゆがんだ粋な器を扱ってるおすし屋さんにいって、アメリカンたちの反応をチェックしてみよう!と、おすしが食べたいばっかりに思ってみたりします。秋になったら、展示会があるらしいので、その時にまた、アメリカで生まれる和食器を紹介したいと思います。 |
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