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KASHIWABA DRIVE〔編集長の雑記帳〕

松浦一樹

 【横浜発1月15日】最近、絵を描きたいな、と思うことがあります。絵心があるかといえば、まったくない。自分が見たいな、と思う絵になかなか出くわさないので、ならば、自分で描いてみようか、と思っているわけです。

 25年ほど前に亡くなったアメリカのノーマン・ロックウェルという画家が大好きです。広告業界では、よく知られた名で、イラストレーターといった方がいいのかも知れない。この人が描いた雑誌の表紙や映画のポスターは、だれでも見たことがある作品ばかりです。

 戯画的で、写実的で、アメリカ人の日常を克明にとらえているのが特徴です。ロックウェルが描いたアメリカ人の表情には、「こんなとき、確かにこんな顔をしているよな」といった親しみがわいてきます。

 年末でした。横須賀線の通勤電車で東京に向かっていたら、車内で、ロックウェル的な光景に出くわしたのでした。よれよれのコートを着たサラリーマンたちがシートに腰かけ、それぞれ東西南北に首を傾けながら、居眠りをしたり、新聞や雑誌を読んだり、おしゃべりをしたりしている。これぞ、日本の日常なわけですが、これをロックウェルなら、どのように描いただろう、と考えてみたわけです。それから、日本の画家なら、だれがこれを描くだろう、と。そんな画家がいたら、ぜひ、ヨコチャンに作品を寄せてもらいたいなあ、などと、勝手なことを思ったのですが、画家の名前がまったく浮かばなかった。

 日本の画家は、プロも素人も、自然派か何か知りませんが、風景ばかり描いてますよね。それは、それでもちろん、かまわないのだけれども、人の表情をとらえることも、大事なのではないかな、と思うわけです。その時々の表情をとらえるのは、ジャーナリスティックな営みでもある。ジャーナリストが活字や写真を離れて、絵を描いてみるのも、いいのではないか。カメラでパチッとやっただけでは、表現できない現実を、ロックウェルの作風で描写できないか…。

 こんなことをつらつら思っていたら、自分で絵を描いてみたくなった。絵心のない私が、こんなことを思うのは、すごいことだな、と思うのですが、動機としては、立派なものでしょう。なるべく早いうちに、着手したいな、と思うのであります。