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横浜の聴き方

藤枝 好

「港町ブルース」―唄われなかった横浜―

 【横浜発10月25日】森進一の名曲「港町ブルース」には以下の地名が登場する:函館・宮古・釜石・気仙沼・三崎・焼津・御前崎・高知・高松・八幡浜・別府・長崎・枕崎・鹿児島。

 森のヘビーな演歌に、都会的な横浜は(「そして神戸」も)うまく乗らないのだろう。横浜は唄われていない。レコード大賞最優秀歌唱賞(1969年)を受賞した「港町ブルース」に唄われなかったことが、港町・横浜の性格を逆説的に表している。前年にポップの天才、筒美京平作曲の「ブルーライト・ヨコハマ」(いしだあゆみ)が大ヒットしたことも象徴的である(この2曲は横浜にとってネガとポジの関係にあるような気がする)。

 演歌として横浜が唄われるのは1971年の「よこはま・たそがれ」(五木ひろし)まで待たなければならなかった。ただ、節回しが巧みな五木ひろしの歌唱は演歌としては軽かった。森進一も吉田拓郎とのコラボレーションによるライトな「襟裳岬」(1974年)で評価されることが多い。個人的には「盛り場ブルース」や「港町ブルース」のころ(60年代というよりも、昭和40年代前半といったほうがしっくりする)の森が好きだ。

 「よこはま・たそがれ」は高度経済成長の終焉、あるいは<軽薄短小時代>到来の予兆だったのかもしれない。(文中敬称略)