ヨコハマチャンネル横浜から日本、世界を考える
 
真帆のハマネスク

渡辺真帆

さよなら、はま子…2

 【横浜発1月29日】インドゾウ「はま子」の大きな遺影が見守る中、戸部小学校の児童29名による“A Whole New World” の演奏が象の運動場いっぱいに響いた。「はま子」のことが大好きだった子供たちによる、「はま子」への感謝とお別れの気持ちを込めた最後のプレゼント。会場のあちらこちらで涙を拭う親子連れの姿。目を赤くさせた動物園スタッフたち。その会場にいた誰もが、その貴重な存在を惜しみ、共に過ごした日々の大切な思い出をかみしめた。

 昨年の11月22日、野毛山動物園で10月7日に59歳で死亡した「はま子」への感謝のつどいが開かれた。午前11時から始まった感謝のつどいには、親子連れなどおよそ2000人が参列し、午後4時を過ぎても、献花の列が途切れることはなかった。

 式典の中で「はま子」の遺影に向かって来賓が次々に感謝の辞を述べる中、主催者の横浜市長に代わって参列した本田常高副市長は、「敗戦当時、毎日の食事を取るのが精一杯だった私たちに、希望の灯をともしてくれたのが『はま子』さんだった。人間と動物が一緒に暮らす楽しさ、素晴らしさを教えてくれた」と感謝の言葉を述べた。

 「はま子」が死亡する直前に園を訪れていた戸部小学校5年1組の生徒と、野毛山動物園クラブに所属する4年生から6年生の子供たちは、花飾りとリコーダーなどによる演奏をプレゼントするとともに、「はま子」にまつわる様々なエピソードを紹介した。同じ象舎で30年近く寝起きを共にし、娘のように可愛がっていた象「マリコ」が死亡した時、10日間も食事が喉を通らなかったこと。大きな体に似合わず、雷や車の音が嫌いで、ネズミやヘビが実は大の苦手だったこと。飼育員にエサをねだる時に出す「ク−ン」という犬のような鳴き声が、なんとも言えず愛らしかったこと。5年生の男子生徒は、「亡くなった次の日に動物園に行ったら、動物園全体がすごく静かだった。(他の動物にも)悲しみが伝わっていたのだと思う。『はま子』は僕の胸の中にいつまでもしまっておきたい」と語った。

 式典の中ではさらに、横浜観光コンベンションビューローから「はま子」に特別功労者賞が贈られた。動物(人以外)がこのような賞を受賞するのは初めてのこと。「はま子」に対する横浜市民の熱い感謝の気持ちがよく表れた形の表彰となった。感謝のつどいに企画から関わっている園の管理係長、島宗幸雄さんは、「お仕着せじゃなくて、あれだけ多くの人が皆心から『はま子』を思って来てくれた。それがすごく嬉しいですし、自分自身がすごく感動しています」と語った。

 「はま子」がその生涯を過ごしたゾウ舎の中には写真のパネルやエサなどが展示された。

 半世紀以上もの間、その愛らしい姿と穏やかな性格で市民を癒し、たくさんの笑顔を運んでくれた「はま子」。からっぽの象の運動場に慣れるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。