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03/10/19 【横浜百景一覧】
山口昭横浜の水もう、20年も続けているキャンプに出かけた。友人15名のメンバーである。1人残念ながら病死したが、あとの仲間はみな元気に参加した。 この季節(10月11日出発)になると、子ども連れの家族も少なく、キャンプ地は、静かなものだ。少々寒いが、キャンプ・ファイアーとシラフ(寝袋)で、なんとかなる。 国道24号線を経て、16号線を八王子方面に走る。橋本を左折すると、空気が変わる。相模川上流を渡ると、もう秋一色である。目指す場所は道志川上流地である。途中で3日間の食糧とビール、焼酎を調達する。15名7食分であるから、相当な量となる。おでんやすき焼きやカレーの材料と調味料。川を汚さないために、無洗米を求める。3時のお茶時間のために、バナナや汁粉の材料も用意する。ワゴン車に積まれた「マキ」は、仲間の大工が、日ごろから保管していた木片がつまっている。各自が持ち込む自慢の一品も、深夜まで続く酒盛りの「おつまみ」になる。私は、いつも「イカの一夜干し」である。20年の間に買い求めた備品の中で、五右衛門風呂用のドラム缶とランタンが秀逸だ。冷蔵庫用に業務用の氷のブロックも必需品である。4台の車の連絡には、携帯電話が活躍する。カメラマンは、いつも税理士が務めている。すべての費用を清算すると、だいたい1人あたり1万円となる。 道志川の水はきれいだ。この水を横浜市民が飲めるのは幸福だと思う。どんな経路で、貯水され、パイプで送られ、浄水場で精製されて、水道水となってくれるのかはわからないが、とにかく、すばらしい水であることは保証できる。全国の水道水の中で、横浜市の水は一級であるはずである。軍港時代の横須賀市の水も一級であったはずである。港には水が必要条件で、全国の港では、良質な水を提供しているはずである。 もう一つのプレゼントに星がある。狭い谷間から見上げる夜空の星は、日ごろ、眺めることが出来ぬほどの美しさなのだ。青竹の中に日本酒を入れ、焚き火の中にさし込んでいると、すばらしい味の「オカン酒」となる。青竹からでる竹の油が日本酒に溶け込み、何ともいえない味となる。酔っぱらってしまったものが1人消え、仲間が数人になるころには、もう鳥の声が聞こえ始める。政治の話や経済の話が健康の話、孫の話になると、自然と散会する。そのころになると、自称「名人」の銀行員が朝の川釣りを始める。私たちが、起床するころには、夜のてんぷら用の川魚が人数分捕れているのである。私が道具を借りて川釣りをしても、決して川魚は捕れない。やはり、名人なのかもしれない。 雑誌記者の仲間は、不思議な男で、いつも秋の花を求めてどこかに消える。一時間もすると、帰ってくるが、その手にはすすきや野生のコスモスが手に握られているのだ。一升瓶にさされた秋の花は、キャンプをいっそう盛り上げてくれる。 商社マンの仲間は、各種の音楽を編集して楽しませてくれる。狭い谷間に反響して、キャンプ地をミュージック・ホールにしてくれるのだ。栗を拾って来る仲間もいる。ナイフで切り込みをいれて、灰の中に埋め込んでいると素敵な味の焼き栗となるのだ。最年長の私だが、いつまでこの仲間たちとキャンプを楽しめるのだろうかと考えると、淋しい気分になる。 午後になると、車で30分のところにある温泉に行く者がいる。私は、そのころになると、昼寝タイムとする。文庫本をビニール・デッキで読んでいると、いつしか眠ってしまう。3時になると、自然と全員が集合して、楽しいティータイムとなる。 音楽が流れ、秋の花がテーブルに飾られ、川魚が並べられると、夕飯の支度に入る。庭の山桃の木を毎年持ち込む仲間がいるが、その山桃の木が燃えると、不思議な香りが流れる。なぜかその香りが、いつも感じるのであるが、遠い青春時代を思い出させてくれる。 私には、このキャンプに一つの夢がある。それは、この谷間で白いキャンバスをはり、映画会を催すことだ。バッテリーと映写機を持ち込めは可能だと思う。 その時の映画は、黒澤明の作品にしたい。 タイトルは「わが青春に悔いはなし」。 |
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