ヨコハマチャンネル横浜から日本、世界を考える
 
横浜百景〔22〕

山口昭

悲しきこと

  横浜市内を走る電車に乗ってみたく思い、考えた末、私の住む青葉区から、東急田園都市線・大井町線で「大井町駅」に出て、JR線で「品川駅」まで行き、そこから京浜急行線で「横浜駅」まで行き、さらに乗り換えて、JR線の「桜木町駅」で下車した。構内の喫茶店でコーヒーを飲み、市営地下鉄で「横浜駅」に戻り、相鉄線の「大和駅」まで足を伸ばし、小田急電車の「中央林間駅」を経て、田園調布線の「あざみ野駅」に帰ってきた。時間にして約5時間、金額にして約1500円であった。なぜ、こんなことをしたのか、われながら、呆れてしまった。

  実は、若干弁解めくのだが、生まれ育った「鶴見」付近、学んだ「希望が丘」付近、遊んだ「桜木町」付近、新婚時代の「横浜駅」付近を再見しようと思ったのである。電車の美しさ、スピードに、時代の変化を改めて感じさせられたが、マナーの悪さには驚かされた。気づいたことを列挙してみよう。

  一、 携帯電話の使用
特に女子学生がひどく、それに次いで若い男子。

  二、 シルバーシートの利用
各電車とも、私自身がシート前に立って見たのだが、市営地下鉄以外、譲ろうとはしなかった。老人以外で座っている人は、いずれも目を閉じていた。つまり、座ってはいけないことは、理解しているようだった。

  三、 新聞を両開きにしている人
新聞を電車内で読むことは、私も現役時間にやっていたが、小さくタテにたたんで読んでいたものだ。しかし、左右の人に対する配慮がなく、特に「スポーツ新聞」派に多かった。三大紙(読売、朝日、毎日)及び日経新聞派には見あたらなかった。

  四、 化粧する学生・OL
何を考えているのか理解できない。さすがに、40代以上の人にfいなかったが、化粧する学生・OLに、美人がいなかったのはおもしろかった。

  五、 ドリンクする人たち
私が乗った電車は、どれも長距離列車ではない。したがって、弁当もドリンクも必要ない。身体の調子が悪い人はもちろん、別である。私が見た人たちは、すべて健康そのものであった。聞くところによると、ドリンクするのは、一つのファッションなのだそうだが、そんなファッションは聞いたことがない。ファッションには、「T.P.O.」が前提条件なのだから。「時・場所・場合」こそ、大切なのだ。ちなみに、ドリンクする人も圧倒的に女子であった。この人達にも美人はいなかった。

  六、 パソコンする人たち
電車の中で仕事するほど、日本のサラリーマンは多忙ではない。この手の男性は、たいてい、会社勤務中は遊んでいる。

  七、 バッチをして座る人
一般サラリーマンがバッチをつけて座ることは、当然であるが、驚いたことに、東急田園都市線で、東急グループのバッチをつけ、一般客が立っている状態の中で、自分が座っているのがいて、その感覚が理解できなかった。社内教育をどうしているのだろうか。さすがに、この時ばかりは、注意した。
「お前はなんだ」
「なんでもないが、有料客に譲るべきでしょう。」
さすがに次の駅で降りてしまった。

  いくつかの光景の中で、私は現在の「日本の縮図」を見た感じがした。家庭教育はどこにいってしまったのだろうか。学校教育、社会人教育もしかりである。

  私は週三日、早朝に出かける。どうせならと、一番電車に乗る。5時15分が一番電車である。冬のその時間はまだ暗く、6時半にならないと明るくならない。暗い寒い朝、駅前掃除をしている人たちがいる。ボランティアの人たちで、ほとんどが婦人たちだ。「おはよう。ご苦労さま」と声をかけると、元気に「おはようございます」と応えてくれる。いい気持ちになって一番電車に乗るのである。