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ズージャグラフィー〔横浜ジャズ〕

吉元哲

旭ジャズまつり

 【横浜発7月28日】27日、恒例の「旭ジャズまつり」が、こども自然公園〔旭区〕で開かれた。
 今年で14回目となる旭ジャズまつりは、地域のボランティア・スタッフを中心に行われ、「手づくり」のジャズイベントとしては国内最大級。会場は自然公園内の野球場〔広さ7000u〕で、毎年、野外ならではの2000人を超える観客がビニールシートを敷いたり、デッキチェアを置いたりして、丸1日、ピクニック気分でジャズを満喫していく。

 この日は午前11時45分からアマチュア5バンド、そして午後3時からプロ6バンドによるステージが繰り広げられた。開演の時点で観客席の中央はほぼ埋まっており、熱心なジャズファンが多いことを実感した。音響設備が充実していて、会場に入らず、公園の芝生でピクニックを楽しむ「ちゃっかり組」も。

 最初に登場したのが、洗足学園(日本で唯一、ジャズ科のある音楽大学)の同級生が集まって始めた、ピアノトリオにギターのカルテット〔四人編成のバンド〕。次に登場したラテン系バンド「アフロ・リトモ・マキーナ」は、旭ジャズまつりの広報イベントでも聴く機会に恵まれたが、その時よりも、はるかにエネルギッシュだった。続いて、常連ともいえるワンホーン(テナーサックス)のカルテット「JAZZ FRIENDS」。モダンジャズの本流を目指しているようで、ライブハウス向きのやや地味な演奏ながら、ハードなジャズファンには受けがよかったようだ。そして、初登場のビッグバンド「山武BLUE NOTES」。初登場とはいっても、40年の歴史を持つバンドで、ヴォーカルも含め、楽しい演奏を聴かせてくれた。アマチュアのラストを飾ったのが、早稲田、慶応のOBの有志が集まって結成した「ハイライト・オールスターズ」。オリバー・ネルソンを思わせる現代的なアレンジで、変則の「4+3拍子」も披露。どれも、公開オーディションをくぐってきただけあって質が高く、アマチュア枠は必要ないのではないかと思われた。

 30分ほどの休憩をはさんで、いよいよ、プロの出番となった。

 トップはすっかりおなじみ、ディキシーランドジャズの「渡辺正典&キングクレオール」。リーダーの「ごてなべ」こと渡辺正典のトランペットに、クラリネット、バンジョー、チューバを加えた典型的なディキシースタイルで、ルイ・アームストロングのナンバーなどを披露。「遠藤律子&ファンキー・リツコ・ヴァージョン」はツインドラム(ドラム2セット)にラテンパーカッションのにぎやかな編成で、聴衆をあおった。地元ライブハウスで活躍する「今田勝トリオ」の演奏には、ジャズ・トロンボーンの第一人者、向井滋春とヴォーカルの井上良も加わった。


 これだけエキサイティングな演奏が続いても、本番はまだこれからだった。「北村英治カルテット」の登場=写真=で場内は一挙に盛り上がった。抜群の知名度と数々のヒットに裏打ちされた人気クラリネット奏者の紹介は不要。クラリネットの温かいジャズ・フレーズは、心に染みる極上のワインのように聴衆を魅了した。

 続いて、水森亜土が登場。ステージに出てきたとたんに、「ピーッハー」とか「スラバシイーッ」などと発して、爆発的な笑いを誘っていたが、ジャズクラブのライブでも活躍している、れっきとしたヴォーカルである。歌唱力の評価は難しいが、エンターティナーとしてはかなりのものだ。

 ファイナルステージは「角田健一ビッグバンド」〔※〕が飾った。

 地域の理解とボランティアの熱意があってのスラバシイーッ、いやっ、すばらしいイベントだった。

 当日の模様は、テレビ神奈川〔TVK〕で8月17日夜に録画放映される。

 横浜ではこの旭ジャズまつりを皮切りに、ジャズのイベントが目白押し。8月2,3日は「サマー・ジャズ2003」、8月30日は「港南ジャズ・フェスティバル」、8月31日は「本牧ジャズ祭」と続いて、10月11日、12日の2日間は「横浜ジャズ・プロムナード」が予定されている。〔帰りの電車で、偶然乗り合わせた「角田健一ビッグバンド」のトランペッター、岡崎芳朗さんが「横浜って、ジャズフェスティバルが多いですねぇ」と話していて、思わずニヤッとしてしまった〕。

 ※この部分は、うるさ型のジャズファン向け。「角田健一ビッグバンド」はちょっと違った。全メンバーを書き出すと、リーダーがトロンボーンの角田健一、サックスセクションはリードアルトが大山日出男、セカンド・テナーが佐藤達也、サード・アルトが緑川英徳、4thテナーが川村裕司、5thバリトンがつづらのひろしと、活躍中のトップ・ミュージシャンが勢ぞろい。トランペットは田中哲也、浦田雄揮、ハイノートの佐久間勲、横浜のライブハウス「エアジン」や「ドルフィー」でもよく見かける岡崎芳朗の強力メンバー。トロンボーンは松本佳明、三塚知樹、高橋英樹。リズムセクションはピアノに井上祐一、ベースに山下弘治、ドラムスに平川象士、ラテンパーカッションに山田智之のそうそうたるメンバー。一曲目はトランペットの天才で、ビバップ生みの親でもあるディジー・ギレスピーのその名も「ビバップ」。難解なフレーズを一糸乱れぬユニゾンで聴かせたのだが、この顔ぶれでなくては、実現できなかっただろう。まさに、オールスターだった。オヤッと思ったのは、角田のオリジナル「Memory of Duke」をアルトサックスのソロで聴かせた大山日出男が、その場は意識的に自己のスタイルを捨て、デュークエリントン楽団の花形サックス奏者だった故ジョニー・ホッジス独特の甘く、セクシーなサウンドを聴かせていたこと。